脳が感じる世界について=その2


少し前に「脳が感じる世界について」

私達の脳は、単語の意味や、食べ物の味に感動したり、がっかりしたりしているのではなく
その言葉や味が発する「電気刺激」によって、感動したり、がっかりしたりしているのだ…

というお話をしました。

これはペンフィールドさんという人の研究によって明らかにされたものですが、
お化けをみたり、声が聞こえたりする不思議な現象も、人工的に脳に電気刺激を与えることによって被験者に感じさせることができたりします。

そして私達の脳は、この電気刺激によって「シナプス」と呼ばれる回路を作ります。
そしてこのシナプスは、次に同じ電気刺激が起った時、より素早くこの電気信号を伝達するように働きます。

これを心理学では「学習」というのですが…

これには良い面も、悪い面も、あります。

例えば、英単語を繰り返し、繰り返し、書いたり音読したりするのは、
このシナプスを作るためです。
同じ電気刺激を、何度も何度も繰り返すことで、脳の神経を作っているのですね。

ですが、例えば
赤ちゃんにウサギのぬいぐるみを与える度に、大きくて不快な音を聞かせて、赤ちゃんを泣かせます。
これを何度か繰り返しますと、赤ちゃんはやがて「白いもの」を見ただけで泣くようになってしまいます。

これが「神経症」です。

厄介なことに、こうした神経症は、元が「ウサギ」だったのに、
似た刺激…例えば「白いもの」や「赤い目」などにも反応するようになったりします。
そして、その反応の仕方は個人それぞれで、本人さえも何に反応しているのか、分からないこともしばしばです。

特に子供の頃の経験で、大人になってから、その経験そのものは忘れてしまっているのに
「何か」に反応して、恐怖を覚えたりするのですね。

この完全に忘れてしまっているのだけど、怖い何か…のことを「トラウマ」と言います。

例えば小さい頃、叱られる度に押入れに閉じ込められていた子供が、大人になってトイレに入る度に過呼吸を起こすようになったり

交通事故を経験した赤ちゃんが、大人になってレースゲームをしていた時、突然てんかんのような発作を起こすなど

本人さえも何故そんな症状が自分に出たのか、わからない…なんてことになってしまいます。

私達人間の脳の、もっとも素晴らしい特徴は「忘れること」だと言われたりしますが
特に、苦しいことや悲しいこと、辛いことは、記憶を曖昧にしたり、忘れたりすることによって

心を守り、感情を安定させようとする働きがあるようです。

苦しい経験を「忘れる」ことによって、
うまく行けば、心が守られますが、
失敗するとトラウマになり、神経症が出たりしてしまうのですね…。

いまマスコミなどで、新型うつですとか、アダルトチルドレンですとか
さも精神病のように言われたりしていますが

全ての心の病が=精神病ではありません。

むしろ世間で言われている心の問題のほとんどが、この「神経症」です。

神経症とは前述したように、「何か」を学習してしまった結果であり
「病気」ではありません。

だから薬では治らないんです。

学習した結果を薬で治せるなら、より良く学習できる薬(頭の良くなる薬?)があってもおかしくないですものね(笑)




  1. 2013/09/19(木) 15:13:18|
  2. 塾長
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
<<仏教のお勉強 | ホーム | 待っていますよー>>

コメント

なるほど…。

深い話、コメントありがとうございました。
神経症が薬ではなく患者さん自身の考え方や気持ちをコントロールさせながら克服するものだと感じました。

現代の精神医学で小児患者さんに強い精神薬を投与して治療どころかその子の将来を奪い取ってる危険性=クスリ漬けに陥るケースもあるそうです。

デリケートな問題でもありますが、さらに細部や深い部分を調べる必要があると考えられます。
  1. 2013/09/20(金) 02:04:04 |
  2. URL |
  3. くろやん #-
  4. [ 編集 ]

お疲れ様です。

先日、NHKのサイエンスZEROという番組で脳のメカニズムとコミュニケーションの関係性を取り上げていました。

赤ちゃんが言葉を覚えるときに、相手(例えば母親など)の視線の先にあるものを認識して相互理解を脳がしていくものだと考えられています。
コメントに取り上げていたトイレで過呼吸を起こす、ゲーム中にてんかんが起きる、といった現象がもしかすると脳の認識と視線の向きが関係しているのかもしれませんね。

私個人的にですが、自分なりに調べてみようと考えております。
  1. 2013/09/26(木) 12:35:43 |
  2. URL |
  3. くろやん #-
  4. [ 編集 ]

こんにちは。

お疲れ様です。ブログを拝見させて頂きました。
高部(塾長)さんのコメントで気付いたことは、カウンセラーやケースワーカー(ソーシャルワーカー)、リハビリテーション職員など支援的立場にいる方が相談者に対してできることが、本人の持っている力(能力)を最大限に引き出すお手伝いにしか過ぎないものだと感じました。


相談者に答えを教えるのではなく、答えを出せるように導くのが支援的立場に携わる者の使命ではないかと改めて気付かされました。

これからも様々な角度で高部(塾長)さんの経験や熱いメッセージをお伝え頂けたら嬉しいです。

朝夕が段々寒くなってきていますが、体調管理に留意の上、お身体を自愛頂きましたら幸いです。
  1. 2013/10/04(金) 12:49:22 |
  2. URL |
  3. くろやん #-
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://yu-gakujuku.com/tb.php/21-84be18e3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)